2019年5月11日土曜日

KYOTO GRAPHIE 2019 アルバート・ワトソン「Wild」他を観て

「KYOTO GRAPHIE 2019」、今回は2会場を訪れました。

まず、嶋臺ギャラリーで開催されているヴェロニカ・ゲンシツカの「What a Wonderful
World」に行きました。

この写真展は、気鋭のポーランド人女性作家が、50~60年代アメリカのストックフォト
を再構成して、その写真に秘められた欲望や葛藤を浮かび上がらせようという刺激的
な試みで、展覧会の題名にもなっているルイ・アームストロングの名曲が暗示するよう
に、一見幸福そうな人物写真の裏の人間の暗部を、垣間見せてくれるということです。

さて実際に観てみると、楽しそうに語り合う男女の女性の顔部分に、若く愛くるしい女性
のマスクを被せた作品は、男性の若い女性への潜在的な欲望を現わしているということ
ですが、逆に私はその写真が醸し出すコミカルさを楽しく感じました。

同様に他の作品でも、一昔前のカメラに慣れない人が写した写真に見られるような、
ピンボケ、二重露光、被写体がフレーム枠からずれているような写真が思い起こされ
て、思わずニヤッとさせられました。私が受け取った感じは、作者の意図とは違うかも
知れませんが、とにかく楽しむことが出来ました。

次に京都文化博物館別館で開催されているアルバート・ワトソンの「Wild」に向かい
ました。

この展覧会は、「ポートレートの巨匠」といわれる有名写真家の日本初の回顧展で、
未発表作も含むということですが、著名な人物を被写体にした、私も今まで目にして
きた、その人物のイメージを文字通り体現するような写真作品も、多く見られました。

それらの写真は、一部の隙もなく作り込まれていて、スタイリッシュで、完璧の一瞬が
写し取られている、というように感じました。でも余りにも隙がなさ過ぎて、私には少し
堅苦しく感じられました。その中で、マイク・タイソンの首の太さを強調した後ろ姿の
ポートレートが、彼の全てを雄弁に物語っているようで、印象に残りました。

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