2019年4月29日月曜日

KYOTOGRAPHIE2019 誉田屋会場を訪れて

いよいよ「KYOTOGRAPHIE2019」が始まり、手始めに室町の誉田屋源兵衛会場に
行きました。

まず入ってすぐの竹院の間で、「ピエール・セルネ&春画」展を観ました。セルネは
フランス人パフォーマンスアーティスト兼写真家で、本展では、さまざまなカップルの
ヌードを被写体として、モノクロのシルエットで表現した写真作品を出展、対して浦上
蒼穹堂・浦上満コレクションによる珠玉の春画を同時に陳列することによって、
鑑賞者は洋の東西、時空を隔てた作品を対比して観ることが出来ます。

春画は精緻に表現された秀品揃い、一方セルネの作品はシルエットが大胆に切り
取られた、写真というより抽象絵画を思わせる作品、対比するにも余りにも隔たって
いて戸惑いましたが、会場の解説にあった人類の普遍的な行為の類似性の抽出の
試みということで、ある程度納得できました。でも正直なところ、春画の素晴らしさに
思わず引き込まれてしまったのが実情でした。ただ、洋の東西の美意識の相違は、
はっきりと感じられました。

次に会場奥の黒蔵で開催されている「ベンジャミン・ミルピエ|Freedom in theDark」
展に向かいました。こちらは国際的に有名な元ダンサー・振付家・映画監督、ミルピエ
の初個展で、自身がロサンゼルスで構えたダンスカンパニーのダンサーを撮影した
モノクロの写真作品と、サウンドを伴う映像作品を展観しています。

まず写真作品は二重露光や画像のぶれなどを駆使して、暗い背景にダンサーの
全身や部分の躍動感、スピード感を浮かび上がらせることを試みた作品で、黒蔵の
特異な空間とも相まって、美しさと共にある種幻想的、あるいは瞑想的な雰囲気を
生み出すことに成功しています。

他方映像作品は、魅力的なサウンドを伴って、画面の中を数人の男女のダンサーが
各々に離れて、あるいは絡まり合いながら、ひたすらにダンスを踊ることによって、
観る者も思わず踊り出してしまうような、さらには、画像内に吸い込まれてしまうよう
な感覚を生じさせます。これは正に、ミルビエの魔法の術中に囚われることを意味
するのではないでしょうか?

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