2018年9月26日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1239では
漫画家宮原るりのコミック『僕らはみんな河合荘』⑪から、次のことばが取り上げ
られています。
「大人になっても〇をつけてもらいたい時が
あるの」
ちなみに、〇はマルと読むそうです。「残念な」若者たちの下宿「河合荘」を出て、
田舎に戻り父親の会社に入った元下宿人が、河合荘に遊びに来てぐちを言い
つつ、父親をねぎらう言葉を発した時に、管理人が返したことばです。
確かに私たちもねぎらったり、ほめてもらいたい時がある。それどころか、自分の
存在や働きを誰かに承認してもらいたいために、我々は日々頑張っているのでは
ないか、と思われる節もあります。
分かりやすいように仕事という側面から考えてみると、勿論、自分自身の達成感を
求めて、仕事に精を出すという部分もあるでしょう。何か無からものを作り出す仕事
であれば、なおさらそうかもしれません。
でもたとえそのような仕事であっても、作り出したものが独りよがりであれば、それ
は結局社会の中で生かされないことになってしまうでしょう。
ことに我々の商売のような、仕入れ先や職人とお客さまをつなぐ仕事であれば、
納めた品物を介してお客さまに満足を与え、仕入れ先とはきれいな取引をして、
職人には気持ちよく仕事をしてもらうことが、大切なこととなります。
そうであればさしずめ、それぞれの相手に笑顔を向けられたり、感謝の言葉を
掛けていただくことが、私たちにとっての〇でしょうか?それもじっくりとした人間
関係を築いた上での、心からのものであれば言うことはありません。
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