2018年9月30日日曜日

鷲田清一「折々のことば」1239を読んで

2018年9月26日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1239では
漫画家宮原るりのコミック『僕らはみんな河合荘』⑪から、次のことばが取り上げ
られています。

  「大人になっても〇をつけてもらいたい時が
  あるの」

ちなみに、〇はマルと読むそうです。「残念な」若者たちの下宿「河合荘」を出て、
田舎に戻り父親の会社に入った元下宿人が、河合荘に遊びに来てぐちを言い
つつ、父親をねぎらう言葉を発した時に、管理人が返したことばです。

確かに私たちもねぎらったり、ほめてもらいたい時がある。それどころか、自分の
存在や働きを誰かに承認してもらいたいために、我々は日々頑張っているのでは
ないか、と思われる節もあります。

分かりやすいように仕事という側面から考えてみると、勿論、自分自身の達成感を
求めて、仕事に精を出すという部分もあるでしょう。何か無からものを作り出す仕事
であれば、なおさらそうかもしれません。

でもたとえそのような仕事であっても、作り出したものが独りよがりであれば、それ
は結局社会の中で生かされないことになってしまうでしょう。

ことに我々の商売のような、仕入れ先や職人とお客さまをつなぐ仕事であれば、
納めた品物を介してお客さまに満足を与え、仕入れ先とはきれいな取引をして、
職人には気持ちよく仕事をしてもらうことが、大切なこととなります。

そうであればさしずめ、それぞれの相手に笑顔を向けられたり、感謝の言葉を
掛けていただくことが、私たちにとっての〇でしょうか?それもじっくりとした人間
関係を築いた上での、心からのものであれば言うことはありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿