2017年3月25日土曜日

細田守監督映画「おおかみこどもの雨と雪」を観て

細田守監督の主要作品の内、この映画だけ観そびれていたので、テレビ放映を機会に
観てみました。

観始めてしばらくすると、ジブリ映画に親しんでいる人は感じると思うのですが、この
作品が宮崎駿監督の「となりのトトロ」や「もののけ姫」へのオマージュであると思えて
来ました。

おおかみこどもの雨と雪二人の体内に宿るおおかみとは、勿論凶暴さも有しますが、
汚れなさや自立心を内包する野性の象徴であり、彼らは体内に、現代人の多くが最早
失ってしまった、そのようなある種危険な本能を宿しているがゆえに、苦しむことに
なります。

「となりのトトロ」の主人公たちが生きた時代には、まだ普通の子供が妖怪やおばけと
交感出来たのに、雨と雪が生きる時代には、体内におおかみを育てる限られた子ども
しか、そのようなことが出来ない。引っ越して来た田舎の廃屋同然の家での雪のはしゃぎ
ぶりとさつきとメイの同様の屈託のなさは、このことを端的に表わしているでしょう。

現代の森で、自然を守る主の役割をおおかみとなって引き受けることを決意した雨は、
「もののけ姫」のサンのようにもののけの助けを借りることも叶わずに、たった一人で森を
守らなければなりません。

この映画のもう一つの主要なテーマ、母と子の絆と自立の物語という観点から見ると、
おおかみの血を継ぐ子供たちを、母の花が、おおかみ、人間いずれとしても成長出来る
可能性がある場所として、都会を離れ、自然の豊かな田舎で育てることを決意する点が
重要です。

花が慣れぬ田舎で人一倍の苦労を引き受けて、この特別の子供たちを育てた故に、
彼らはそれぞれにおおかみとして、人間として自立して生きる道を見出すことが出来たの
でしょう。

現代社会における子育てということについても、考えさせられる映画だと、感じました。


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