2017年3月29日水曜日

鷲田清一「折々のことば」706を読んで

2017年3月26日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」706では
動物行動学者日高敏隆の「生き物の流儀」から、次のことばが取り上げられています。

 ぼくを研究に駆り立てていたのは、じつにつまらない「うれしさ」だった。

このことばは何も研究に限らない、一般の仕事にも当てはまるのではないでしょうか。

例えば私は考えてみると、日々の仕事の中で小さな喜びの積み重ねの中に、やりがいを
見出しているように感じます。

出来上がった品物をお客さまに直接手渡す時、その品物を目の前にしてそのお客さまが
発せられる喜び、あるいは満足の言葉と表情、更にはお客さまの手元に出来上がった
品物をお送りした後、そのお客さまから感謝のお電話を頂いたり、わざわざ御礼状を
寄せて頂いた時など・・・。

私たちの店の一般のお客さま向けの商品が、相対的に一点づつの誂え染めで、品物が
実際に出来上がるまで、果たしてその品物がご注文主のご意向に沿う色に、染め上がって
いるのか分からないので尚更ですが、出来栄えに満足したというお客様のリアクションに
触れると、こちらもほっとすると同時に、この仕事をお受けして良かったと、改めて感じます。

あるいは、染め職人さんとの関係においても、私が指定した通りの色に、更には私が予想
した以上の色に品物が染め上がった時、また染色整理に携わる職人さんに品物を
このような風合いに仕上げてほしいとお願いをして、その職人さんの経験と工夫によって、
こちらの望み通りの仕上がりが実現出来た時など、ご注文主のお客さまが満足される
様子を想像して、喜びを感じます。

このような一つ一つの小さなうれしさが、仕事のやりがいを生み出しているのだと、上記の
ことばを読んで改めて気づかされました。

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