2017年3月10日金曜日

鷲田清一「折々のことば」690を読んで

2017年3月10日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」690では
霊長類学者松沢哲郎の「想像するちから」から、次のことばが取り上げられています。

 絶望するのと同じ能力、その未来を想像するという能力があるから、人間は希望を
 もてる。

手放しで人間の能力を賞賛するのではない、深い余韻を残すいい言葉です。

我々には過去に思いを馳せ、未来を思い描く他には類のない能力があります。しかし
その能力は、時として行く末を悲観する絶望を生み出し、過去の禍根に囚われる負の
感情を生起します。そのような時私たちは、こんな能力が備わっていることを呪うかも
しれません。

でもその能力は、少し考え方を転換することによって、未来への希望や、過去に折り
合いを付けることから得られる、精神的な落ち着きを生み出す手助けともなるのです。

では、どのような心の持ち方を心掛けたら、絶望を希望へと転化することが出来る
のか?私自身の貧弱な一つの例から考えてみると、私がある目標に向かって日々の
活動を行っている時、些細なつまずきが重なって行くと、どんどん先行きへの不安が
広がり、その結果として、目標が到底達成出来ないという絶望感が膨らんで行くことが、
ままあります。

この絶望を希望に変えるのは、きっかけとなるほんの僅かな成果、あるいは自分が
囚われているマイナスの思考を、別の角度から冷静に見つめる新たな視点を見出す
ことのように、感じます。

同様に過去への悔恨に対しても、その結果を前向きにとらえ直す新たな思考法を探し
あてることが出来たら、心の重しは随分軽くなります。

もしかしたら私は、人生の色々な場面で役立つ、心の鬱屈の解消の処方箋を見出す
ために、日々新たな書物に手を伸ばすのかもしれません。

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