1月16日に、大相撲初場所で初日から3連敗した横綱稀勢の里が引退しました。
2017年初場所で初優勝を決めて横綱に昇進し、翌春場所は逆転連続優勝で人気も
最高潮に達しましたが、その時のけがが尾を引き以降は8場所の連続休場や在位
12場所で36勝など、ワースト記録を塗り替える不本意な成績で、わずか2年間の
短期在位に終わりました。
私は最近はあまり大相撲には関心がなく、他の力士の勝敗には無頓着ですが、
稀勢の里の成績だけは気になって、陰ながら応援していました。
これを機会に、どうして力士としての稀勢の里が好きであったかを振り返ってみると、
まず私が以前に比較的熱心に相撲を観ていた時にひいきにしていた力士とは、彼は
毛色が違うことに気づきます。
まずは龍虎や琴錦といったきっぷが良かったり、小兵ながら速攻一本やりの個性的
な力士、しかし彼らはあくまでわき役で、大関以上に昇進することは叶いません
でしたが、そこがまた応援のし甲斐があるのでした。
もう一人は魁傑、この力士は大関まで昇進しましたが、当時の人気力士輪島や
貴乃花に比べて華やかさがなく、生真面目さが仇になっているようなところがあって、
やはり私には応援したくなるところがありました。
その点稀勢の里は体力と実力を兼ね備え、幕内上位を占めるモンゴルを中心とする
外国人力士に日本人として一人伍する存在でした。それで私は当初はあまり関心が
なかったのですが、大関としてある程度成績を残しながら、なかなか横綱に昇進出来
ない姿を見ているうちに、だんだん応援したくなって来ました。
そのあたりから、彼の相撲に滲む人間性といったものが、感じられるようになって来た
のだと思います。横綱昇進の時には、課題の精神的な脆さも克服されて来たと感じ
られたのに、不運なけが・・・。
そして私にとっては、それ以降の悪戦苦闘の様子が彼の真骨頂であったように思い
ます。つまり決して弱音を吐かず、それが長い目で見て自分の力士生命を縮めること
であっても、横綱として出場し続けることにあくまでこだわった姿。
横綱の義務ともいえる好成績を残せなくても、多くの観客はそのひたむきさ、不器用さ
に共感を持ったのでしょう。その意味では稀勢の里は、横綱という大相撲の最高位に
上り詰めた力士でありながら、歴代の横綱の中でも庶民にとって最も、心情的に寄り
添うことの出来る力士であったのではないかと、今は感じています。
0 件のコメント:
コメントを投稿