2019年1月9日水曜日

改組新第5回「日展」を観て

今年も恒例の「日展」を観に行きました。京都市美術館本館の改修のため、今展も
みやこめっせ地下1階と京都市美術館別館で分割開催されています。

今回も工芸美術部門の染色と日本画部門を中心に観ましたが、まず、みやこめっせ
地下1階第1展示場の染色では、常連のお馴染みの作家に安定感があり、ベテラン
が健在であることに安堵したり、また新たな主題を選んだり、表現方法を変えたりと
新機軸を打ち出している作家に苦心の跡を感じて、勇気づけられたりしました。

京都市美術館別館の日本画部門では、残念なことに若手作家を中心に展観されて
いる1階の展示場が、作品の大きさや作品数の割に手狭で、作品から距離を取って
じっくりと鑑賞出来ないところが物足りませんでした。そういう制約もあって、特に
特筆すべき作品も見受けられませんでしたが、美術館本館の改修終了の折には、
快適な鑑賞環境でまた新たな才能を探してみたいと感じました。

それに対して、2階の展示場にはベテランの力作、受賞作が十分な間隔を取って
ゆったりと並べられ、さすがに印象に残る作品もありました。

東京都知事賞受賞の長谷川喜久「白映に赤」、文部科学大臣賞受賞の村居正之
「暮れゆく時」、京都市長賞受賞の川嶋渉「待宵月」には特に感情を動かされました。
日本画作品に求められるものも、時代の要請か従来よりも訴求力があり、それが
過ぎるとあざとくなってしまいますが、適度のインパクトのあるものが評価されるの
だと、これらの受賞作を観て感じました。

個人的には池内璋美「映ゆ」が、川面の情景を近距離から見下ろすように描き、
上方から垂れる柳と思しき夥しい葉の密生と、水面のさざ波に映える陽の光の輝き
の対比が絶妙で美しく、好ましく感じました。

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