2018年10月29日月曜日

幼い頃の逆上がりのこと

新聞紙面の書籍の広告で、幼い頃の小さな成功体験が成長してからのポジティブな
ものの考え方の核となる部分を植え付ける、という内容の本の案内を見つけました。
そこにはその例の一つとして、逆上がりの習得が挙げられていました。

私はこの文章を読んで、唐突に忘れていた幼い日の記憶がよみがえって来るのを
感じました。

小学校低学年の頃の私は虚弱な体質で、幼稚園時代に長期に入院したこともあって
運動が苦手でした。足も遅く、逆上がりが出来ることには憧れながら、到底無理だと
諦めていました。

どんな経緯だったかは分かりませんが、日頃仕事が忙しく、あまり子供を構ってくれ
ない父が、私が逆上がりが出来ないことを知って、近所の鉄製の柵がある家の主人
に使用許可を取ってくれました。その頃の私の背丈なら、その柵の横棒が丁度適当
な鉄棒になったのです。

小学校から帰ると来る日も来る日も、父がアドバイスを送りながら見守る中、逆上がり
の練習をしました。最初は体が全く鉄棒の高さまで上がりませんでしたが、徐々に
接近するようになり、そうすると足を蹴上げるタイミングで腕を折りたむコツも分かって
来て、体が鉄棒に密着するようになったある時、突然に体がくるっと一回転しました。

正直、習得するまでの長い練習期間には、もうやめてしまいたいと思ったことも、一度
や二度ではありませんでした。しかし父が辛抱強く付き合ってくれるので、なかなか
切り出せなかったのです。そして逆上がりが出来た時の達成感、爽快感が、今まさに
まざまざと脳裏に浮かんで来ました。

あの時の父は、それまで出来なかったことが出来た時の喜びを、幼い私に教えて
くれたのだ、と思います。

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