2018年6月22日金曜日

羽二重4匁のこと

ここ数年、全国の個人のお客さまから、羽二重4匁のご注文をいただきます。この
現象は私たちの店三浦清商店では、かつてなかったことです。

羽二重4匁は、詳しい説明はここでは省きますが、当店で扱う絹の羽二重という
種類の白生地の中でも最も薄い生地で、一枚をかざして見ると、生地を通して
向こう側が透けて見えるほど薄く、目方も普通の紙よりも軽くて、薄さゆえに
絹本来の光沢が浮き上がって見える、とても美しい生地です。ただ、余りにも薄い
ので、耐久性には劣る部分があります。

生地の規格は幅が92cmで、長さが46m、当店では1巻売りと、1m単位の切り売り
をしています。

従来は、絞りの着物の裏打ちや刺繍の裏打ちに使用され、そういう用途でこの
生地を求められるお客さまが大半でした。もっとも現在の用途に通じる、かんざし屋
さんからの注文も確かにありました。

さて最近は、布をピンセットでつまんで花びらの形を作り、糊で台に固定して花の
アクセサリーに仕上げる、つまみ細工が流行しています。これはかんざし屋さんの
手法にも通じるものですが、この流行の特徴は、プロではなく一般の人が自分で
好みのアクセサリーを作るというところにあります。いわゆる”もの消費”ではなく、
”こと消費”ということでしょうか。

そして、このつまみ細工に最適の羽二重4匁の白生地を販売しているところが
全国的に少なく、私たちの店に白羽の矢が立ったという訳です。

つまみ細工を一般の人に指導したり、普及のために初心者向けの本を出版して
おられる先生方も、当店を自身がご利用していただくだけではなく、広く紹介して
くださるので、私たちの店で購入していただく一般のお客さまが増えたということ
です。

従来とは違う客層の方々が店を訪れられて、私たちも新鮮な刺激を受けています。

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