2018年3月21日水曜日

鷲田清一「折々のことば」1053を読んで

2018年3月18日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1053では
民藝運動の強い影響を受けた、「もやい工藝」前店主久野恵一監修による『手仕事
のいろいろ』から、次のことばが取り上げられています。

 つくっている人の笑顔があるかどうかも大事

手工芸に携わる人には、いかにも自分の仕事が好きでたまらないと感じさせる人を
よく見かけます。

私たちの白生地店には、染織を仕事にしておられる方がよくご来店くださいますが、
こういったお客さまが本当に楽しそうに生地を選ばれるので、接客しているこちらも
思わず嬉しくなってしまいます。

その時の心境をお尋ねすると、生地を見ていると、この生地であれを染めよう、あの
生地を何に使おうと、次々と構想が頭に浮かんで来て、この時間が私にとっては
至福の時間です、とおっしゃる方がままあります。そしてそういうお客さまは、必ずと
いっていいくらい、仕事をしているとこの世の憂さを忘れます、とおっしゃいます。

その様子を見ていると、ものを作るという仕事は本当に楽しいのだろうと、つくづく
感じて、ちょっとうらやましく思うと共に、それぐらいの情熱がなければ継続出来ない
仕事に違いないと、納得させられます。

昨今は経済環境も厳しく、人間が手作りするという点でも贅沢な嗜好品と位置づけ
られるようになってしまった、工芸に携わる人々にとっては難しいしい時代であると、
私などにも実感されますが、それ故になお、これらのお客さまに満足していただける
白生地を提供したいと、切に思っています。

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