2016年5月4日水曜日

春の「京都非公開文化財特別公開」で、伏見稲荷大社に行って来ました。

伏見稲荷大社へ行くのは、初詣以来です。何故今回の特別公開で訪れる
場所を伏見稲荷にしたかというと、お参りには行きつけているこの神社に、
非公開の文化財が存在するとはまったく知らなかったからで、それだけに
興味がわいた次第です。

さて本殿にお参りしてから、今回公開されている荷田春満旧宅(史跡)にまず
向かいます。これは、伏見稲荷大社の社家出身で、江戸中期の日本の四大
国学者の一人である、荷田春満の生家ということで、江戸期の社家造りを
今に留める貴重な建築物だそうです。

こじんまりとした瀟洒な造りで、座敷の欄間の装飾なども面白く、趣味の良い
建物だと感じました。また庭も広くはないが美しく整っていて、塀越しに
神社内の狐の像が望めるのは、一説にはその部屋に宿泊した人に雰囲気を
味わってもらうためということで、細部まで行き届いた目配りを感じさせられ
ました。

次に訪れたお茶屋(重文)は、後水尾天皇から拝領を受けた建物で、
書院造から数寄屋造への移行期の実例を残すものだそうで、障子の桟
などにその特徴が示されていると、説明の係員から教えられました。二階に
上がると一望の下に広がる、斜面にしつらえられた庭の景観が素晴らしく、
思わず見とれてしまいました。

隣接する松の下屋では、版画家棟方志功の揮ごうによる掛け軸「稲荷
大明神」が飾られていて、この作家らしいたけだけしく、雄渾な筆勢が、
稲荷神の霊験を体現しているかのように感じました。

同じく志功の水墨による襖絵では、私はこの公開の案内に記載されていた
「御鷹図」より、部屋の三方を囲むように描かれた「御牡丹図」が、剛毅さの
中にも温もりを感じさせて、好ましく思いました。

0 件のコメント:

コメントを投稿