2016年3月25日金曜日

京都文化博物館「創立70周年記念 京都工芸美術作家協会展」を観て

京都工芸美術作家協会は、京都を中心に活動する工芸美術作家の会派を
超えた作家団体ということで、その70周年記念展が京都文化博物館で
開催され、ご招待も頂いたので観に行って来ました。

私が観つけている染織を中心に、会場を巡ったのですが、この展覧会は
上述のように、日頃は別々の会派に属して作品発表を行っている各々の
作家が、一堂に会して作品を展示しているということで、作家の作品傾向の
比較を通してそれぞれの会派の特色が明らかになったり、あるいは、他の
会派の作家作品への対抗意識から、特定の作家の作品に、良い意味での
化学反応と言っていいような意外性が生まれるところなどが、興味深く感じ
られます。

例えば、日展系の作家作品は総じてアート的な感覚を重視する、奔放で
大胆な傾向が見られ、対して伝統工芸系は制作技術を優先する手堅く、
硬質な印象を受けます。また新匠工芸会系は実際の需要に則して
デザイン性の重視や、時々の嗜好に敏感であるように感じられました。

その上で、ある作家は日頃染色パネルの平面作品で発表している同じ
制作技法で、今展では着物作品を発表して、新たな魅力を発散させて
いたり、同じパネル作品でも日頃の傾向に一ひねりを加えて、違う趣を
演出していたり、あるいは、色使いなどに常とは違う遊び心が垣間見える
など、他流試合を観る楽しみがありました。

ともかく、京都の工芸美術の多様さ、層の厚さを改めて確認させてくれる
展観でした。

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