2014年10月15日水曜日

京都国立博物館平成知新館オープン記念展「京へのいざない」を観て

京都国立博物館の新しい平常展示館、平成知新館が完成したました。
それを記念して同展示館で展覧会「京へのいざない」が開催されたので、
行ってみました。

同展は、絵画、書跡、彫刻、工芸、考古から選りすぐりの名品を展観する
ことによって、京文化の粋を明らかにしようとするもので、通期で国宝
約50点、重要文化財約110点を展示する豪華な展覧会です。

さて展示室に入ると、まず私たちを迎えてくれるのは仏像彫刻群です。
このコーナーでは、僧形の顔が中央より二つに裂けて、中から十一面
観音が顔をのぞかせる様をリアルに形作った、宝誌和尚立像(西往寺蔵、
重文)が最も印象に残りました。この像が建立された時代に、SFと見紛う
ような表現が試みられたという事実は、人間の発想の時を超えた遥かな
広がりの可能性を示しているように思われます。

私の今展の目当ては、肖像画、伝源頼朝像(神護寺蔵、国宝)で、実際に
目にしてみると、線と面の表現がゆるぎない存在感を持って迫って来ます。
西洋絵画のような肉感的な量感はないのに、シンプルな構成だけで、
確かな実在感を現出しているのです。またそれは同じ東洋の絵画でも、
自在な筆勢と墨の濃淡で奥行やふくらみを表現する、中国の水墨画とも
違う、簡潔さの中に存在そのものを凝縮したような、抑制の効いた禁欲的な
表現となっています。

この表現手法には、以降の日本の文化、美意識全般に通じるものを感じ
ました。

なお京都国立博物館では、10月7日より明治古都館(本館)で、特別展覧会
「修理完成記念、国宝鳥獣戯画と高山寺」も開催されていて、両館の
展覧会を楽しむことが出来ます。

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