2019年10月28日月曜日

美術館「えき」KYOTO 「西洋近代美術にみる 神話の世界」展を観て

美術館「えき」で、上記の展覧会を観て来ました。

本展では、18世紀半ばから20世紀にかけてのギリシャ、ローマ神話や古典古代を
題材にした、美術作品が展観されています。ヨーロッパでは18世紀に至り、遺跡
発掘の成果などから改めて、古代ギリシャ、ローマ文化が脚光を浴び、同神話を
主題とする絵画などが、盛んに制作されるようになった、ということです。その流れ
は、芸術の革新運動が興隆した19世紀半ば以降も引き継がれ、20世紀の前衛的
美術にも見られる、そうです。

さてこの展覧会では、上記の文脈に沿って、近代西洋美術の代表的な画家、彫刻
家たちの作品が展示されていますが、出展作品は主に国内の美術館から集められ
ていて、それぞれの作家の代表的な作品は見受けられません。しかし、じっくりと
観て行くと、派手さはなくとも、良質で味わい深い作品が多く存在し、好ましく思う
と共に、日本の各地の美術館関係者の、各種制約の中での作品の蒐集に対する
確かな目を感じました。

特に印象に残った作品は、まずこれは英国の美術館からの出品ですが、ラファエル
前派の夢見るような甘美な気分を発散する絵画、フレデリック・レイトン《月桂冠を
編む》、その流れをくむ、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス《フローラ》郡山市立
美術館蔵、私にとっては、この画家の絵としては珍しい題材と思われた、ジャン=
フランソワ・ミレー《眠れるニンフとサテュロス》ユニマットグループ蔵、同じく私の
持っているイメージからは新鮮に感じられた、オディロン・ルドン《アポロンの二輪
馬車》《ペガサスにのるミューズ》それぞれポーラ美術館、群馬県立近代美術館蔵、
などです。


それから絵画以外では、あまり大きな作品ではありませんが、この彫刻家に特徴的
な力感的で、うねるような造形感覚が発揮されている、オーギュスト・ロダン《彫刻家
とミューズ》群馬県立近代美術館蔵、絵画だけではなく、版画の表現も素晴らしい
ことを、改めて感じさせてくれる、パブロ・ピカソ『オルガス伯の埋葬』高知県立美術
館蔵、などがありました。

全展示作品数が65点で、質的にもまとまっていて、余裕を持ってゆっくりと鑑賞する
ことが出来る、好企画の展覧会であると感じました。

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