2019年8月20日火曜日

大阪文化館・天保山「THEドラえもん展」を観て

本展は、国内外で活躍する28組のアーティストに、「あなたのドラえもんをつくって
ください。」と依頼して、出来上がった作品を展観する展覧会です。会場の大阪
文化館は旧サントリーミュージアムで、久しぶりに訪れて、このような形で今も活用
されていることを、懐かしく感じました。

さて、全体を観終えて感じたのは、ドラえもんが誕生してから約50年、その間幅広い
世代の多くの人々に親しまれ続けているということで、出品作家も展覧会の鑑賞者
も、ことごとくドラえもんを愛しているということが、実感を伴って伝わって来ました。

個別に観ると、まず会場入り口近くで我々を迎える、大きな画面全体がカラフルな
花やドラえもんのキャラクター、アイテムで埋め尽くされた中央部にどこでもドアが
開かれ、その上方には藤子F不二雄氏のキャラクターも佇む、村上隆のにぎやかな
作品。正にオープニングに相応しく感じられます。

次に目に止まったのは、色々な楽しい場所で、ドラえもんと女の子がデートする場面
を活写した、カラフルな蜷川実花の写真作品。ドラえもんが夢と現実のはざまの存在
であることを、示してくれます。

その次は、劣化防止スプレーを題材にした、しりあがり寿の映像作品。彼によると
現代社会はどんどん劣化していて、劣化防止スプレーを噴霧しないと、ドラえもん
さえ形が崩れて行くそうです。その崩壊するドラえもんの、しりあがり独特の描写が
秀逸!彼らしい社会風刺の作品になっています。

最後に作者の名前は忘れましたが、ライトが点灯する模型機関車が展示室の
レール上を走る作品。レールの周囲に日用品を利用したオブジェが配置してあって、
暗くした室内をその機関車が走ると、オブジェの影が壁面に投影されます。その影
の流れがとても幻想的で、この作品も銀河鉄道の夜を彷彿とさせるようで、日常の
すぐ隣にあるファンタジーの世界を暗示していると、感じました。

とても楽しい展覧会でした。

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