2019年7月27日土曜日

鷲田清一「折々のことば」1521を読んで

2019年7月14日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1521では
『中勘助詩集』(谷川俊太郎編)から、次のことばが取り上げられています。

   かわいい子よ おおかわいい子よ
   おでんのつゆに きものよごすな
   手のひらに 串のとげたてるな

名作「銀の匙」の作者は、詩においても、その慈愛に満ちた世界を彷彿とさせる
ことばを、紡ぎ出しています。

しかし現代においては、社会の中の人と人の絆が希薄になって、あるいは他者
との関わりを避けようとする個人主義的な考え方が蔓延して、一般の人々の間
の、社会全体で地域の子供を育てようという意識が、希薄になって来ているよう
に感じられます。

そのために公共の場で、幼い子供連れの母親の存在を不快に感じたり、更には
地域に保育園が出来ることに反対運動が行われるような事態が、生じているの
でしょう。そのような社会環境は、若い人々が子供を作らないという選択を、助長
しているようにも、感じられます。

その社会の生きやすさ、暮らしやすの基準は、一人一人の心のありようにおいて
は、精神的な余裕があるかどうかによって決まって来ると、思います。そしてその
精神的なゆとりは、子供を含む社会的に弱い立場にある人々への思いやりや、
対等の関係の存在の中でも、互を尊重し、譲り合う心などに、現れて来るのでは
ないでしょうか?

そのような心の余裕が、どんどん失われて行くような風潮を危惧しながら、私自身
としては、出来ることなら平常心を保ちたいと、念じています。

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