2018年12月1日土曜日

自宅での葬儀を済ませて

前回の続きをつづらせていただきます。

母はかねてより、自宅での葬儀を希望していました。最近は葬儀場で行われることが
多く、父の時もそうしたのですが、母は自宅で過ごすことが好きで、最後の入院の時
も早く家に帰りたいとしきりに言っていましたので、希望を入れて自宅で行うことにした
のです。

病院から連絡を入れると、寝台車と共に数人の葬儀社の人がやってきて、自宅で
葬儀を希望と告げると、母の遺体を搬送して、ひとまず生前愛用のベッドに安置し
ました。

葬儀社の担当者が私たちの家の間取りを見て回って、店の東側の通りに面する部分
がガレージ、中庭があって奥が応接間になっている部分を使って、葬儀を行うことに
決まりました。

翌日から設営が始まり、まず奥に続く中庭の飛び石の上に、参列者が歩きやすいよう
に木製の廊下を設置し、応接間には白い幕を巡らせてから、銀の屏風を背景に花で
彩られた祭壇と棺を安置するスペース、菩提寺の住職が着座されるスペースが設け
られました。

会場内一円に白黒の幕が張られて、要所に供花が飾られ、ガレージが受付と待合所
になって準備が整うと、見慣れた自宅が見違えるような葬儀場になりました。

この一連の進行の中で一番印象に残ったのは納棺の儀式で、納棺師が手際よく母の
遺体に気に入りの着物を着せ、死での旅立ちという意味の白の手甲、脚絆は、最後の
ひと結びは私たち近親の者が行いました。遺体が棺に納められると、生前愛用の品、
好物のお菓子などを入れ、周囲を切り花で埋めて儀式は終わりました。切なさが
こみあげて来る瞬間でした。

通夜、告別式にはご近所の方、母と親交のあった人々が駆けつけて下さり、参列者数
はそれほど多くはありませんでしたが、最後の見送りまで残って下さる方の割合も多く、
母の希望通り自宅で葬儀をしてよかったと感じました。

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