2018年12月17日月曜日

鷲田清一「折々のことば」1299を読んで

2018年11月27日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1299では
ノンフィクション作家久田恵+花げし舎編著『100歳時代の新しい介護哲学』から、
ある有料老人ホームの入居者の次のことばが取り上げられています。

  「あなた、歳をとるってどういうことかわか
  ってる?・・・もう人から年齢しか聞かれなく
  なる、ってことよ」

母親の介護を続けて来て、上記の言葉は実感を持って感じたことです。

母は7年前の父の死去後もしばらくは、まだ健康のためにプールに通っていま
した。プールのお友達との付き合いもあり、また小学校、女学校時代の高齢でも
元気なお友達とも、同窓会などを企画して余生を楽しんでいました。

しかし5年くらい前に脳梗塞で倒れてからは、当初はお友達のお見舞いなどもあり
ましたが、介護が必要な状態になってプールも辞め、自宅に引っ込むようになる
と、友人たちも高齢で健康を損ねられたことなどもあって、次第に交流が途絶えて
行きました。

ここ数年は親族と担当する介護関係者だけが、日常的に母と接触する数少ない
存在という状態になりました。

今日の高齢化社会では、老人はある体調の限度を超えると人との交わりが極端
に少なくなって、社会的にもどんどん孤立化して行く。まさにそれも、深刻な高齢化
問題なのでしょう。

ただ私の母の場合自宅で葬儀をしたこともあって、高齢のご近所の方々が多く
お別れに来てくださったり、喪中の葉書をご覧になってしばらく交流のなかった母
ゆかりの人々からお悔やみの電話やお手紙を頂戴したことは、残された私たち
には、大きな励ましとなりました。

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