2018年2月12日月曜日

「松村圭一郎のフィールド手帳 「アフリカは暑い」という願望」を読んで

2018年2月6日付け朝日新聞朝刊「松村圭一郎のフィールド手帳」では、「「アフリカは
暑い」という願望」と題して、文化人類学者である筆者が調査で訪れる、アフリカの
気候に対する私たち一般の日本人の先入観を例にとって、いつもと違う場に身を置き、
そこから自分たちを眺めることの大切さについて、語っています。

現代では通信技術の発達によって、私たちを取り巻く社会はすっかりグローバル化し、
家の中に居ながらにして世界各地の情報に接することが出来るようになりました。

そのため長年外国を訪れたことのない私なども、いっぱしの情報通の気分になって、
世界中の地域の気候風土がおおよそどんなものであるか、また今各地でどのような
政治問題や事故、災害が起こっているかなどを、最低限把握しているように感じて
しまいがちです。

しかし耳から入り、目から飛び込む情報や映像には、おのずと限界があります。体験
に基づかない情報の場合、私たちはついついそれを自分たちの尺度や思い込みで
整理して、都合よく解釈してしまうものだからです。特に日本が極東の島国であること
は、このようなものの見方を助長しているに違いありません。

例えば、ここで取り上げられている「アフリカは暑い」という命題も、私たちはこの大陸
の木々が鬱蒼と茂るジャングルや、野生動物がたわむれるサバンナの映像をしばしば
目にし、また干ばつや熱帯性の伝染病の蔓延のニュースに接して、アフリカに対する
イメージを固定化してしまい、それに当てはまらない情報がよしんば出て来ても、意識
に留めないか、例外的なこととしてやり過ごしてしまうのではないでしょうか?

では、このような偏狭なものの見方を少しでも緩和するには、どうすればいいのでしょう
か?ここで語られている現地から逆に日本を見てみるという、相対化された視点を持つ
ことが最善ではありますが、それは誰にでも容易なことではありません。

少なくとも色々な視点から著わされた書物を読み、またネットやメディアからもたらされる
膨大な情報を取捨選択する眼力を養い、柔軟なものの見方を鍛えることが必要なの
ではないでしょうか?

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