2017年5月7日日曜日

春の非公開文化財特別公開で、寂光院へ行って来ました。

ゴールデンウィークの一日、春の非公開文化財特別公開で大原寂光院へ行って
来ました。

なぜ寂光院へ行こうと思ったかというと、火災で大きく損傷した旧本尊の木造地蔵
菩薩立像が、この特別公開に合わせて公開されているからです。

平成12年に起きた周知の本堂の火災で、重要文化財の旧本尊は著しく焼損しまし
たが、消防隊員による細心の注意を払った懸命の消火活動と、事後の保存処理
によって、黒く焼けただれながら外形を保ち、重文指定が継続されることになったと
いうことで、日頃は新たに作られた収蔵庫に安置されて非公開ですが、この期に
公開されるので、是非訪れてみたいと思ったのです。

折しもこの日は五月らしい好天に恵まれ、大原の里のすぐ近くに迫る山々も青々と
した新緑に包まれ、生命の息吹を発散するようです。辺りに広がる田畑からは、鳥
やカエルの鳴き声が楽しげに聞こえて来ます。町中から少し離れた山里ののんびり
とした風情を満喫する気分でした。

しばらく山沿いの坂を登って、目指す寂光院に到着しました。石垣に囲まれた静かで
落ち着いた佇まいです。石段を上がって境内に入ります。

非公開文化財特別公開の場所は一般の拝観ルートとは別に設定してあって、まず
入ってすぐの会場で竹内栖鳳ら明治から昭和の京都画壇の画家の絵画作品を鑑賞し、
お目当ての地蔵菩薩立像を拝みに奥の収蔵庫へと向かいます。

寺の他の建築物の中では新しい収蔵庫の中に入ると、透明ガラスの仕切りの奥に、
くだんの地蔵菩薩が御供え物などに囲まれて、丁重に安置されていました。

前身漆黒に彩られていますが、その立ち姿はそれゆえかえって、美しく優雅で、たお
やかな輪郭が強調されて、神秘的な趣きがありました。手前に並べられた、この立像
の体内から取り出された3000体以上の小さな地蔵菩薩像も、そこに込められた信仰
の深さを示しているようで、思わず私は手を合わせました。

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