阪急百貨店本店9Fアートステージで開催されている、「ぬぬぬパナパナのぬぬ展」
を観て来ました。
この展示会は、お客さまでもある浦令子さんが、布の作り手とそれを愛用する人を
つなぐ場として、前身の企画からは13年、今のネーミングになってからも6度目を迎える
催しで、従来は大阪と東京で開催されて来ましたが、今回は浦さんの体調の関係も
あって、大阪展だけが開かれることになったそうです。
ユニークなネーミングの由来は、八重山諸島の方言で、ぬぬは布、パナパナは端々と
いう意味で、布を媒介にして両端に位置する作る人、用いる人が交歓する空間を
プロデュースする意図が込められているそうです。
以前から浦さんよりお誘いを受けていながら、自営業を営む身の忙しさもあってついつい
行きそびれていましたが、今回で一応休止されるということで、思い切って会場を訪れ
ました。
ところが驚いたことに、何と浦さんがつい先日お亡くなりになったということを知り、会場
に置かれた、在りし日の飾らぬ浦さんの遺影を前に、思わず呆然としました。
初めて目にする展示品は、着物、帯、ストールなど全て作り手が天然素材で手間ひま
かけて作り上げた品物で、布の風合いや色つや、手触りから、一目で上質な手工芸品と
分かります。
そのような品を実際に所有することが出来ればと、思わずため息が漏れますが、制作の
手間や原料費を考えると決して高価過ぎることはないにしても、品質にこだわらなければ
廉価の品が豊富に存在する現代の時代に、それをあえて購入してもらうにはハードルが
高いと感じられます。
浦さんは作り手と愛用者をつなぐことによって、本当に良い品物を納得の上で購入出来る
環境を作ろうと考えられたのでしょう。そのような試みがこれからも続けられることを願い
つつ、浦さんのご冥福をお祈りします。
0 件のコメント:
コメントを投稿