2017年5月16日火曜日

「京都国際写真祭2017」アニエスベーフォトコレクションを観て

「京都国際写真祭2017」も、とうとう会期末を迎えました。京都ならではと言っても
いい、地域の特色を生かした多様な会場で、またそれぞれの場に相応しい写真家と
テーマの選定の上に開催された各写真展は、展示作品そのものの魅力もさること
ながら、場の雰囲気との相乗効果によって、これまでの写真鑑賞では体験したことの
ないときめきを私にもたらしてくれたと、感じました。

さて最後に私は、JR京都伊勢丹の美術館「えき」で開催されていた、「アニエスベー
フォトコレクション」を観に行きました。この展覧会は、ファッションデザイナーとして
著名なアニエスベーが、自らのアートコレクションから、この写真祭の今年のテーマ
「LOVE」にちなんだ作品をセレクトして、展観するものです。会場構成も彼女自身が
行ったということで、会場に張り出された、会期中に事情があって自らが立ち会えない
ことを残念に思うというコメントからも、彼女の強い想いがうかがえます。

彼女によってコレクションされ、今回セレクトされた写真作品(一部映像作品を含む)
は「LOVE」というテーマ設定もあって、相対的に明るく、みずみずしいイメージの
作品が多く見受けられると感じました。その中でも、愛というものを穏やかに、静かに
観る者に語りかけて来る写真が多いのは、彼女の好みを反映しているのでしょうか?

私自身もこのテーマを情熱的に激しく訴えかけて来る作品よりも、この会場の作品の
ように抑制の効いた表現を用いたものの方が好ましく感じるので、全体を通して心地
よい気分で、観て回ることが出来ました。

その中でも、直接の抱擁や赤裸々な裸体の描写ではなく、そこに登場する恋人たちの
仕草や場の雰囲気、あるいは切り取られたイメージの中から、愛のエッセンスがにじみ
出て来るような写真に特に惹かれたのは、私の日本人的な感性のなせるところかも
知れません。色々な国の写真家の色々な感受性や美意識が、作品を通して一堂に
提示され、鑑賞者はそれを比較、あるいは自らに引き付けて楽しむことが出来る。
これも国際写真祭ならではの醍醐味ではないでしょうか。

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