2015年10月19日月曜日

「京都国際映画祭2015」アート部門を観て

今開催されている、「京都国際映画祭2015」のアート部門を観て来ました。
これは、映画祭の映画上映と並行して実施されている美術イベントで、
漫才コンビ「おかけんた・ゆうた」の、美術に造詣が深いおかけんたが、
企画したということです。

まず市役所前広場で、オランダの芸術家テオ・ヤンセンが制作した、風を
動力として駆動する「ストランド・ビースト(砂浜の生命体)」の
パフォーマンスを見学しました。

女子プロ野球選手たちが扮する風の送り手が、大団扇で送る風を体内の
ペットボトルにため込んで、沢山のきゃしゃな足を持つこのビーストが
ぎこちなく、しかしある意味颯爽と、広場の数メートルを無事歩き切りました。

風というものの力、それに対して人間の造形物の思うにまかせぬ頼りなさ、
健気さ、じっさいに砂浜で自走する姿を想像しながら、思わず宮崎駿監督の
映画「天空の城ラピュタ」のロボットたちを空想しました。

次に新京極の誓願寺へ。ここでは「又吉直樹x<文学>の世界」が開催
されていて、特に会場一番奥のお寺の仏間とおぼしき部屋に、又吉作品
「火花」の表紙を飾った西川美穂の絵画「イマスカ」が、額装されない
キャンパスの状態で照明を落とした空間に浮かび上がり、部屋の天井の
片隅には、はかない花火がまたたく映像が映写されて、この小説に通底する
独特の雰囲気の中に観る者を誘う展示が、強く印象に残りました。

最後に元立誠小学校で現代美術作家河地貢士の「うまい棒」を観ました。
この作品は教室中央に二万五千本の金色の包装素材に包まれた菓子
「うまい棒」を積み上げ、壁面の黒板にチョークで名前を書けば一本もらえる
というもので、積み上げられた「うまい棒」のきらめき、背後に書き込まれた
黒板の文字のち密さが、古い教室に何とも言えぬ彩りを添える作品です。
ここでの私は、自身の出身校ということもあって、失われたものを思い起こす
ようなノスタルジーを感じました。

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