6月いっぱいで、浸染職人の林弘さんが、キャリアを終えられました。
私たちが、林さんに仕事をお願いするようになって、15年ほどに
なります。
林さんは、この道60年。色合わせが得意で、ずいぶん助けて頂き
ました。
林さんにお願いする以前は、誂え染めというと、私の知る限り、
多少色が合わないのは当たり前で、それが当然と思っていま
した。
ちょうど、林さんに仕事を依頼するようになってしばらくして、
私たちの店でも次第に、誂え染めの仕事が増えていき、また
帯揚一枚から誂え染めが出来ないかという、要望も受けるように
なりました。
そこで林さんにお願いしたところ、こころよく引き受けて頂き、
微妙な帯揚の一枚一枚の色のトーンの違いも、ほぼ忠実に再現
することが出来て、多くのお客さまに満足していただけることと
なったのです。
今回、これを機会に、初めて仕事場に入れていただき、染色の
工程を見学しましたが、水の張られた染色槽に色見本に合わせて、
耳かき一杯ほどの染料を調合して入れていき、染める生地を浸し、
引上げ、一部を乾かして見本と合わせ、また染色槽に染料を入れ、
染めて色合わせという工程を5回ほど繰り返す、勘と根気の
作業でした。
幸い、新しい染屋さんも見つかって、従来と変わらず、誂え染めを
承ることが出来ますが、これまで多くのお客さまに、私たちの
仕事を支持して頂いたのは、間違いなく、林さんのお蔭だと思って
います。
林さん、有難うございました。
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