2014年7月16日水曜日

泉屋博古館「ちょっとパリまで、ず~っとパリまで」を観て

明治期以降、国の近代化に呼応して、多くの洋画家が本場の絵画を
学ぶため、ヨーロッパに留学しました。住友財閥を築いた住友家は
これらの画家たちを支援し、その作品を購入、住友グループ各社で
所蔵して今日に至っているといいます。

本展は住友グループ各社収蔵の作品から、十九世紀末から
二十世紀前半にパリに留学し、帰国後日本の洋画を発展させ、
あるいは現地に滞在して、異邦人画家として活躍した画家の
作品に絞って展観する催しです。

ちょうど先日、黒田清輝展を観に行った後なので、この展覧会も
親近感のあるものに感じられました。本展でも、黒田の二作品が
展覧されています。

黒田展で、この画家の初期からの研鑽、画境の成熟を観て行く
ことが出来たのに対して、この展覧会では、ちょうど初期作品、
後期作品が並べられていたこともあって、画家を見守る支援者の
視線が感じられたというのは、うがった見方でしょうか?

いずれにせよ、違う切り口で同じ画家の作品を観るという、貴重な
体験が出来たと感じました。

全体を観終えて、公立の美術館の大規模な展覧会が、たとえて
言うなら、正式の舞踏会のように、襟をただして観ることを求められる
ものであるならば、この美術展は私的サロンの集まりというように、
親密で和やかな気分を漂わせる、くつろいだ雰囲気の展観であると
感じられました。

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