2014年4月21日月曜日

朝日新聞の夏目漱石「こころ」再連載に寄せて

4月20日より、朝日新聞紙上で、漱石の「こころ」連載開始100年を
記念して、再連載が始まりました。

実は私は5年ほど前に、「こころ」を一度読んでいます。それで今回、
もう一回読んでみるものかどうか思案しました。

それというのも前回読了した時、先生とKの関係に、現代の価値観とは
相容れないような、古臭く、じれったいものを感じたからです。

どうして先生はKに自分の思いを伝えられなかったのか?Kの死後、
なぜに終生、彼に対する罪の意識に苛まれ続けたのか?
読み終えた後も、以上の疑問がまるで澱のように、私の心に残りました。

しかし、あえてもう一度読み直してみようと思ったのは、再連載に合わせて
掲載された、大江健三郎氏による、「時代の精神」というキーワードのもとに
語られた言葉を、読んでみたことにもよります。

そこで語られた言葉から私が汲み取ったのは、その小説が連載された
時点に立ち返って、読み直してみるということです。

果たしてそんなことが可能かはわかりませんが、うまくいけば、私にとっての
「こころ」の新しい解釈が生まれるかもしれません。

さらにこのように考える私を励ましてくれるのは、今回は新聞小説という形で
再読することになるという事実です。読み方が変われば、印象も変わる
に違いありません。なんだか楽しみになってきました。

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