2020年2月9日日曜日

竹内英樹監督 実写映画「翔んで埼玉」を観て

昨年公開されて異例のヒット、本年の日本アカデミー賞で最多12部門で優秀賞を
受賞した、魔夜峰央原作の漫画「翔んで埼玉」の実写版映画がテレビ地上波で
放映されたので、早速観てみました。

漫画「翔んで埼玉」は読んでいないものの、魔夜の作風は「パタリロ」で承知済み
なので、ギャグ満載の映画とはある程度認識していましたが、観てみると抱腹
絶倒の作品でした。

まず面白いのは、埼玉県を筆頭に、東京都周辺の各県の住民が序列付けされ
厳格な差別を受けていること。勿論現実にはあり得ないことなのですが、恐らく
実際にも首都東京と周囲の県では、中心と周り、大都会と地方というような微妙
な感覚の違いがあって、それぞれの住民が多少の優越感や劣等感を持っており、
その屈折した心理がこの映画では誇張して表現されていると、思われます。そう
いう人間の心理の綾を、分かりやすく提示しているところが絶妙です。

次に映画の配役の部分で、二人の主人公麻実麗(GACKT)と壇ノ浦百美(二階堂
ふみ)にあたる登場人物が、原作ではどちらも男で、愛し合う二人はボーイズラブ
の関係なのですが、映画では麗を男性のビジュアル系ロックスター、百美を女優
が男装して演じているところが、映像としてのイメージをぐっと膨らませてている、
と感じられます。

原作者は宝塚歌劇にシンパシーを持っているようですし、またこの映画が現実
離れしたストーリーを、映像の上では説得力を持って観客に提示するためには、
目くるめくような演劇的効果を必要としていることは間違いないでしょう。そして
この演出の成功が、この映画のヒットを導き出したと、思われます。

この映画が公開されると、埼玉県民にも好評で、多くの人が映画館に行ったそう
です。埼玉県の人々のパロディーとユーモアを解する精神も、感じ取れます。


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