2019年6月2日日曜日

鷲田清一「折々のことば」1477を読んで

2019年5月30日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1477では
フランスのブルターニュ地方でよく使われる言い回しとして、次のことばが取り上げ
られています。

  ブルターニュでは太陽はいつも雲の上にある

ブルターニュ地方の実際の気候風土や歴史のことは知りませんが、色々な地方での
人の営みに当てはまることばだと感じ、心に残りました。

雲の上にある太陽は直接には見ることは出来ないけれど、雲の層の厚さによって、
雲がどんよりと陰気に重々しく見えたり、逆に温かく軽やかに見えたりする。

厚い雲に覆われている時には、その上に太陽があることはなかなか想像出来ません
が、でも上記のことばを繰り返し使っていたら、雲の上の太陽の存在を信じ、自身の
心を励ますことが出来るかも知れません。

あるいは、層が薄く明るい雲に覆われている時には、間もなく太陽が顔を出すかも
知れないと期待が膨らみ、ここでもうひと頑張りと踏ん張りがきくかもしれないで
しょう。

上記のことばは一見、自分たちの置かれた環境を自嘲しながら、それでいて生きて
いる土地に愛着と誇りを持っているということを、言い表しているように感じられます。

そのような自らの暮らしと土地への愛情が、その地特有の文化を育むのではないか
と、このことばを読んで感じました。

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