2019年6月24日月曜日

ヒヨドリの営巣顛末記

私の家の庭は京町家の中のほんの小さな坪庭ですが、そんな猫の額ほどの空間
でも、季節に応じて幾種類かの野鳥が訪れてくれます。

秋口から初春にかけては、椿や梅の花の蜜を求めてメジロがつがいでやって来ま
すし、かつてはウグイスが来たこともあり、辺りが静かな正月には、大屋根の上で
シラサギが佇んでいたこともありました。

スズメ、ハト、カラスに至っては、年中やってきて、庭木の枝を飛び回ったり、あるい
は、遠巻きに屋根に止まって、こちらの様子をうかがったりしています。

さて先日、ヒヨドリのつがいが頻繁に庭に出没するようになりました。この鳥は、年中
見かけるといえば見かけますが、どちらかといえば秋から冬にかけて、千両や南天
の実を目当てにやって来ることが多いので、梅雨前の今の季節には珍しいと感じて
いました。

ご承知の通り、この鳥は泣き声がギャーギャーとうるさく、今回はあまりに頻繁に鳴く
ので少し閉口していましたところ、ちょっといつもの挙動と様子が違うのに気づき
ました。

というのは、メジロなどよりは警戒心が薄いとはいえそこは野鳥、従来ならヒヨドリも
私たちが近づくと敏感に気配を察して、サッと飛び立ちます。でも今回は、私が庭を
通ってもいたずらに鳴き叫ぶだけで、逃げようとしません。

何か妙だとよく観察してみると、庭の椿の樹上に巣を作っていることが判明しました。
その場所は丁度2階の物干しの下になって、雨露はしのげ2階からの人間の視線は
さえぎられていますが、庭に降りて近づくと、直ぐに人間の手が届くところに位置して
います。

このヒヨドリのカップルにとっては、簡単に人に近づかれるところが誤算だったので
しょう。さらに観察すると、メスは巣にうずくまり、オスはこちらを牽制するように盛ん
に鳴きながら、せわしげに周囲の枝をうろうろしています。

そして数日後、ついにそこで卵を産むことを断念したのか、2羽とも姿を消しました。
後に残ったのはからの巣だけで、少しかわいそうな気もしましたが、こんな場所では
落ち着いて子育ても出来なかっただろうと、彼らの決断をよしと思いました。

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