2019年6月5日水曜日

松栄堂 薫習館「エミリ・ディキンスンの世界展」を観て

昨年にオープンした香の老舗松栄堂のお香の体験施設薫習館で、詩人エミリ・
ディキンスンの企画展が開催されているということで、私の家の近くにあるその施設
が気になっていたこともあって、訪れてみました。

ディキンスンの詩については、今まで全く知りませんでしたが、彼女が生涯ほぼ無名
でこつこつと詩を書き貯め、死後にその詩の素晴らしさが広く認められ、後世の詩人
たちに大きな影響を与えたことを、この展示で知りました。

その詩についても展示された断片を読むと、繊細で、匂い立つ、珠玉の言葉の連なり
がイメージされて、アメリカ文化の深層にある慎ましやかで良質な部分を、代表する
詩人なのだろうと感じさせられました。

上記薫習館のロビーで催されるささやかな展観でしたが、その場に流れるお香の香り
も含めて、エミリ・ディキンスンという詩人に相応しい空間であると、感じました。

さて薫習館のお香の魅力を広く紹介する常設展示も興味深く、私はお香の製造工程
のミニチュア模型を見てから、天井から吊り下げられた、3つのそれぞれに違う香りで
充たされた白い箱に、頭から潜り込んで香りの差異を楽しむ「かおりBOX」、白い柱に
設置されたラッパに鼻を近づけ、手元のポンプを押すことで、お香の代表的な原材料
の香りを嗅ぎ分ける「香りの柱」などを、面白く体験しました。

普段自宅の仏壇で何気なく使っている線香の香りの奥深さを知り、また原材料のお香
の香りには、日頃使っている線香の匂いの中に含まれる、ほのかな痕跡といったもの
も感じ取れて、記憶にもつながる新鮮な香りの体験が出来たと、感じました。

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