2019年6月21日金曜日

鷲田清一「折々のことば」1487を読んで

2019年6月9日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1487では
カナダのジャーナリスト、ナオミ・クラインが米国の実業家、Y・シュイナード著『新版
社員をサーフィンに行かせよう』に寄せた序文から、次のことばが取り上げられてい
ます。

  物を使い捨てにするのはそれを作る人々を使
  い捨てにするようなものだ

考えてみると、現代社会に生きる私たちは、随分色々なものを使い捨てにするように
なった、と思い至ります。

安価な日用品然り、ペットボトル、買い物袋、マスク、食べ物用のトレー、紙おむつ、
などなど。

このうちには、かつてはそのもの自体が存在しなかったり、使い捨てにする方が
衛生的に理にかなっているものもありますが、でも本来なら長く使い続けていたもの
もあります。

またIT系を中心の電気製品や、その他工業製品でも、相対的に以前より製品の
耐用年数が短くなりました。技術の新陳代謝が速かったり、顧客が新しい製品を好む
傾向にあるという側面もありますが、製造する側もコスト削減を重視して、長く使わ
れることを念頭に置いていない分部もあると感じます。

全体的にものを使い捨てにするのが平気で、当たり前になり、もったいないという意識
が希薄になっていると思います。

しかし上記のことばのように、ものの作り手に思いを馳せ、その品物を大切に使うと
いうことは、自身の情操を養うことにもつながります。

私たちの携わる和装の業界には、洗い張り、色揚げ、仕立て直し等、長く着物を使い
続ける文化もまだ残っていますので、そのような精神を大切にして行きたい、と考えて
います。

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