2018年11月26日月曜日

鷲田清一「折々のことば」1287を読んで

2018年11月15日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1287では
「別冊太陽/十代目柳家小三治」でのインタビューから、この人気落語家の次のことば
が取り上げられています。

  安心しているときが、一番危ないときだよ。
  迷ってねぇときは、危ない。迷っているとき
  は、もっと危ない。要するにいつも危ない。

彼が師匠の小さんから「お前の噺は面白くねぇな」と、きついだめ出しをされた時、
実感したことのようです。

この言い回しだと、迷ってなくても迷っていても、いつも危ないと取れますが、それ
以前に、安心しきっている時が最大の危機である、ということなのでしょう。

これは自分の身を振り返っても、よく分かる気がします。安心している時には往々に
思考停止が起こって、思い込みをしてしまったり、何も考えずやり過ごしてしまって、
後になってみるとミスを犯していることがあります。

物事に迷っていなくてもその心の状態をちゃんと意識していたり、あるいは迷うことに
よって意識が研ぎ澄まされている時の方が、重大な過ちを犯さない、と言えるのでは
ないでしょうか。

つまり油断大敵、研鑽を惜しまず、問題意識を常に持ち続けることが、何事につけて
も大切なのに違いありません。

しかし、ありきたりのことを噺ているのに、そこは一流の落語家、語りにおかしみと
ウイットが効いています。

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