2018年8月29日水曜日

鷲田清一「折々のことば」1204を読んで

2018年8月21日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1204では
建築家光嶋裕介の『ぼくらの家。』から、京都市内にある築80年の古民家を光嶋に
リノベートしてもらった出版社主三島邦弘の、次のことばが取り上げられています。

  僕が感じた「気持ちいい」は、この土地に重
  層的に積み重なる歴史のなかに自分がコミッ
  トしはじめた、そのことを感知したから

私たちの店及び自宅は、建築された年も判然としない古民家と言ってもいい京町家
ですが、後から譲ってもらった居住スペースを除き、体裁のいいリノベ―トもしない
ままに、壊れたところを繕い、いくらかは住みやすいように改修して、今日に至ってい
ます。

でも、もし強い地震が来れば保障の限りではありませんが、住めば都、年月が降り
積もった古い柱や建具、飴色に変色した天井板は、私に安らぎと落ち着きを与えて
くれます。私にとってこのような効果は、新築の家ではとても期待できないと感じ
ます。

また母屋と離れの間にある坪庭は、以前にも書いたように剪定、施肥、草引きなど、
何かと手間がかかり、特に今年のような猛暑続きの年は、水をやらなければならない
と、ほとんど強迫観念に近い思いに取りつかれたほどでしたが、その代償と言っては
何ですが、狭いながらも四季折々の風情を楽しむことが出来、気持ちが落ち込んだ
時も、心を和ませてくれます。

結局この家に代々住み続けて、先祖が見守ってくれているという安心感、あるいは
例え肉親ではなくとも、以前に住んだ人々が大切にその家を手入れして来たに違い
ないという信頼感が、今現在住む人の心をも包み込むのではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿