2018年8月16日木曜日

鷲田清一「折々のことば」1197を読んで

2018年8月14日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1197では
NHK「仕事ハッケン伝」から、魚屋「魚眞」の代表加世井眞次の次のことばが取り上げ
られています。

  大事なのは作業の半歩先。

自営業を営む人間として、私もこのことばにはうなずくところがありました。確かに昔
ながらの私の日常の仕事は、作業に属するものが多くあります。

生地を倉庫から運び出し、丸巻きをほどきながら検品し、物差しで長さを測って心棒
もしくは巻き板に巻き直して、店戸棚に仕舞う。注文があれば取り出して、生地を
ほどいて必要な長さを測って切る。あるいは各巾の白山紬を正方形に近い風呂敷の
大きさにカットして、たたんで仕付け糸で綴じるなど。これらは単純な作業です。

しかし生地を倉庫から運び出す時に同種の生地の在庫量をチェックし、最近の売れ
行きから後を仕入れるかどうかを考えたり、また店戸棚の品物がどれだけ減った時点
で新しい生地を出すかなど、お客さまが来店された時にあまりお待ちいただくことなく、
円滑に商品を提供できるように工夫をすることは、仕事に属するのではないでしょう
か?

また新しい生地を初めて仕入れる時に、それを使っていただくお客さまの顔を想像
しながら決めることは楽しいことですし、白山紬を一枚づつたとむ時も、その品物が
どのように売れて行くかを考えながら、生地巾による枚数の配分を決めて作業を
進めて行くのも、意味のない時間ではありません。

有意義な仕事を出来るだけ増やし、単なる作業を仕事に転換できるように、これから
も努めて行きたいと思います。

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