2015年1月26日月曜日

フィクションとノンフィクション

とりとめのない会話の中で、フィクションとノンフィクションについての
次のような話題が出て、少し考えさせられました。

 
 「英語ってちょっと分かりにくいところがあるね。だって例えば、
  架空の話をフィクションと言って、実際の話なのにノンをつけて
  ノンフィクションなんて言うんだから・・・」

まず最初に、時代は変わったな、と感じました。私の若い頃には、
文学と言えば真っ先にフィクション、ノンフィクションは伝記などを
除いて、余り話題にならなかったと記憶します。

それよりずっと以前の物語や説話、詩歌にしても、事実に虚構が
混じるのは当たり前、というより第一フィクションとノンフィクションの
区別がなかったのでしょうが、つまりフィクションこそが、文学の
特性だったと思われます。

その事情は英語圏でも変わらず、だからあえて事実に則した
文学作品は、ノンフィクションと呼ばれるのでしょう。

しかし私たちの現代社会では、何でも現実的で利便性が高く、
その上合理的なものが尊ばれ、いきおい読み物においても、
即物的な感性に訴えかける、ノンフィクションが重宝されるのだと、
私は推測します。

もちろんノンフィクションにも素晴らしい作品があり、特に最近は
作者が実際に身の危険を省みず、体当たりの体験をして、その
経験を読みごたえのある読み物に仕上げる、素晴らしい作品が
多く生み出されています。

しかしフィクションにも、即効性はなくとも、登場人物の心のひだに
分け入り、人とは何か、その生み出す社会とはいかなるものかを、
その技法を用いなければ表現することが出来ない方法で、見事に
描き出す作品がやはり存在します。

読書好きの私としては、これからも優れたフィクションと
ノンフィクションを万遍なく読んでいきたいと、改めて思いました。

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