2021年8月18日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2118では
作家・関川夏央との対談『日本人は何を捨ててきたのか』から、哲学者・鶴見俊輔の次の
ことばが取り上げられています。
真理を方向感覚と考える。その場合、間違い
の記憶を保っていることが必要なんだ。
確かに我々日本人は、過去の過ちや失敗を、うやむやにしてしまう傾向があるのではない
か?
その典型的なものが敗戦の体験で、全ての罪は軍国主義にあると考え、一般国民は逆に
犠牲者であるというような言い分が、年月が過ぎるにつれて支配的になって行ったように
感じられます。
しかしあの戦争直前には、この国に好戦的な気分が醸成され、庶民の間でも開戦を望む
機運が高まっていたように伝わりますし、真珠湾攻撃の成功は、熱狂的に受け入れられた
と言われます。
勿論あの当時は、国民の生活状況や国際情勢も、現代とは全く違うので、単純に現在の
価値観であの頃の一般的なものの考え方や、行動様式を非難することは出来ませんが、
やはり、庶民も戦争に否定的でなかったことは、記憶しておくべきことだと、思います。
その後悲惨な戦争を経験して、国民の中に厭戦の気分が広がり、平和を尊いと感じる思い
が広がったことは、かけがえのないことだと感じますが、そこに至る我々の思考方法の
変化については、反省の意識と共に、胸に刻み付けておくべきであると、強く思います。
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