2021年7月30日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2100では
作家中島らもの随想集『その日の天使』から、次のことばが取り上げられています。
一人の人間の一日には、必ず一人、「その日
の天使」がついている。
とても詩的なことばです。そして同時に、救われることばでもあります。
人生はままならないもの。大きな災難、哀しみ事でなくても、いたるところにちょっと
した悩み、小さな不満が隠れています。
最近は、それが当たり前に思えて来て、かえって望外の喜び事や、物事がうまく行き
過ぎると、後の反動が心配になるぐらいですが、それでも、日常の中に悩みや落ち込む
ことは、絶えません。
ですが上記の言葉のように、一つの負の感情には、対になる些細な喜びや癒される感情
が付いて来ると考えると、随分気持ちが楽になります。
かつて私が観た、ビム・ベンダースの『ベルリン天使の詩』という映画で、図書館で
読書している人に優しく寄り添う天使の姿に、強く胸を撃たれましたが、正にそのような
イメージを、この言葉に感じます。
要は、負の感情にさいなまれることがあっても、きっとまた救いも訪れるはずだ、という
ことを信じ続けることでしょう。私も、ささやかな可能性を信じて、毎日を丁寧に生き
たいと思います。
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