2021年7月18日付け朝日新聞朝刊「鷲田清一折々のことば」2088では
西洋中世哲学史家山内志朗の『小さな倫理学入門」から、次のことばが取り上げられて
います。
感情もまた能力なのです。愛も恩も義理も、
自然と身につくものではないのです。
私は、感情の中の原初的なものは、本来人間に備わっているものだと考えます。例えば
何かを愛しいと感じたり、美しいと思ったり、また逆に恐ろしいと感じたり、憎たら
しいと思ったり・・・。
でもその感情の核のようなものを、自覚的に認識するためには、他者を思いやり、相手
の立場に立ってものを考えることが必要なのではないでしょうか?
そして、そのような態度を身に付けるためには、相手の気持ちを感受するための、訓練
が必要なのだと思います。
更には、そのような訓練を積むためには、自分に好意を抱いてくれる人、温かい心の
持ち主と多く交わることが大切でしょう。だから不幸にして、悪意に満ちた人や、猜疑
心の強い人に囲まれる環境にいる人は、そのような訓練を受けることが難しいかも知れ
ません。
だから、好意的な人に囲まれている人は、そのことに感謝しなければいけませんし、逆
の立場の人は、自分が置かれた環境に自覚的になって、誰かの助けを借りてでも、そこ
から抜け出すことを、模索すべきなのでしょう。
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