2021年1月2日土曜日

大野和基(編)「コロナ後の世界」文春新書を読んで

コロナ後の世界はどうなるのか、と名打った、世界の知性6人(ジャレット・ダイヤモンド、ポール・ クルーグマン、マックス・テグマーク、スティーブン・ピンカー、スコット・キャロウェイ)への 緊急インタビューをまとめた書です。 昨年初春に瞬く間に世界に広がり、各国に多くの感染者と死者を生み出した、コロナウイルス感染症 は未だ終息の目途が立たず、根本的な治療法も見つかっていないので、これからも長く我々人類は、 この感染症と向き合って行かなければならない可能性が、高まっています。 そして海外、国内移動も含めて、人と人との直接の接触を出来るだけ減らすことが、この感染症の 最良の防御法であることから、経済、社会活動が極端に制限されるなど、従来とは違う生活スタイル を生み出すことが、求められていると言えます。 このような事態に直面して、私たちは如何にパンデミック以降の世界をイメージし、対処して行く べきであるのか?これは切実な問題です。 さて本書で各人の語るところを読むと、コロナ後の世界というのは、何も特段新しい兆候が派生する のではなく、かねてから指摘、予測されていた問題点、傾向がより顕在化して、解決すべき課題と して浮かび上がって来ているように感じられます。 例えば、新型コロナウイルスの中国武漢での発生自体が、人間と野生生物の密な接触という環境問題 に、その拡大は、独裁的な国家による情報統制に深く関わっていると思われますし、あるいは経済 活動において、人と人の接触を減らすことは、リモートワークや、通信販売の普及といった、デジ タル技術の更なる向上につながると思われます。 また最近の著しい発達によって、脅威論も生まれて来ている、AI技術の利用法や、いかなる倫理観 やコンセプトで、この技術を運用するかということも、具体的に解決すべき課題となって来ます。 更には我が国に限っても、人口減少を補う方法として、女性、高齢者、外国人の就労促進が、喫急の 課題として挙げられます。 いずれにしても、我々の社会が突然のコロナ禍に襲われたと言えども、私たちは感染リスクを減らす 方策を取りながらも、そでに顕在化し始めていた課題に、決して悲観的にはならず、前向きに取り 組むべきではないか?本書を読んで、そう強く感じました。

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