2021年1月5日火曜日

鷲田清一「折々のことば」2026を読んで

2020年12月18日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」2026では 仏文学者渡辺一夫の随筆集『五つの証言』から、次のことばが取り上げられています。    「自己批判」を自らせぬ人は「寛容」にはな    り切れないし、「寛容」の何たるかを知らぬ    人は「自己批判」を他人に強要する。 そもそも人間というものは、自らの尺度でしか他者を評価することが出来ないので、人を 許すためには、自分にも欠点があり、完璧ではないので、その人の失敗や欠陥をあえて あげつらうことは出来ない、という認識を持つことが必要なのでしょう。 このように他者への「寛容」は、必ず自身への客観的な評価や、それに伴う反省を前提と しなければ、成り立たないでしょう。 そして、そのような「自己批判」をしたことがない人は、逆に自分を棚に上げて、他者に 厳しくそれを求めることとなり、結果「寛容」など吹き飛んでしまうのでしょう。 昨今のネット上の匿名の激しい他者批判、メディアを賑わわせる、過失を犯した芸能人へ の容赦ない糾弾には、そのような側面があると感じられます。 失敗が許されない社会は、ますます窮屈になる。ただでさえ、コロナ禍でささくれ立つ 心に、塩を擦り込むことにもなりかねません。 このような時だからこそ私たちは、自省を込めて自らの言動を振り返り、他者への「寛容」 を育みたいものです。

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