2020年12月30日水曜日

「佐々木閑 現代のことば  今必要な努力とは」を読んで

2020年12月9日付け京都新聞夕刊、「佐々木閑 現代のことば」では、「今必要な努力とは」 と題して、今の日本の何事においても右下がりの状況に対して、その状態からどのように して脱却するかという、課題解決の仏教的立場からのヒントとして、釈迦が悟りを開くまで の道のりについて、分かりやすく触れています。 曰く、釈迦は「真の安楽を手に入れるためには努力が必要だということは分かっているが、 なにをどう努力すればよいのか分からない」と悩んで、最初は苦行によって忍耐を養うこと を目指しましたが、それでは問題解決に至らず、最後には、世の中を正しく見抜く「智慧」 を身に付けることが必要であると気づき、そのためには「自己の在り方を正しく観察する 洞察力を養うことだ」と考えて、瞑想により「今までの自分の心はどうであったか。今現在 の自分の心はどうなっているか。そしてこれから先、自分の心はどうあるべきか」と分析し、 今ある自分の直すべき欠陥を見つけ出し、それを集中的に直すことによって、ついには悟り を開いたと、いうのです。 確かに私たちは直ぐに解決出来ないような困難に直面した時、まず我慢して耐え忍ぶという 選択をしがちですが、往々にしてそれは根本的な解決にはならず、帰って対策が遅れること によって、その困難を増幅させるという失敗を犯してしまうものです。 今回のコロナ禍においても、政府の対策の遅れの原因の一つとして、このような心の働きが 作用しているように感じられます。 何も上からの通達に限らず、この災厄への私たちの対応においても、自身の感染リスクを 出来るだけ少なくする努力を続けながらも、その制約の中で個々の課題をいかにして改善 していくかということを、冷静に分析し、対策を見つけ出していくことが、今こそ必要で あると、改めて感じます。

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