2020年7月3日金曜日

京都国立近代美術館「チェコ・デザイン100年の旅」を観て

新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言明け、国公立では2館目の美術館
訪問です。

まず、今回の展覧会がそれほど話題性が高くはなく、混みあわないことが想定され
ているのか、事前予約制ではなく、適当な間隔をあけて並んでチケットを購入し、
検温後入場という段取りで、会場に入ることが出来ました。

また、チケット購入待ちの時間に、「京都市新型コロナあんしん追跡サービス登録
のお願い」のチラシが配られ、そこに印刷されているQRコードからメールアドレス等
を登録すると、来館者から新型コロナ感染者が出た場合に、通知メールが送信され
るサービスが行われている、ということでした。

さて、本展の内容ですが、チェコはボヘミアグラスに象徴されるような、伝統的に
工芸美術が盛んな土地柄で、この展覧会は、主にチェコ国立工芸美術館の優れ
たコレクションを展示することによって、近代100年のこの国の工芸の歴史を通覧
出来る催しとなっています。

この展覧会を観て私の印象に残ったのは、まずチェコが当時のヨーロッパ文化の
中心であった、フランス、オーストリアの美術思潮をいち早く取り入れ、工芸美術に
応用したことで、例えばキュビスムの影響を受け、金属の結晶こそが最も均整の
取れた美しい形であるという考え方の下に制作された、黄鉄鉱の結晶を模した陶器
の小物入れの完成度の高さには、思わず見入ってしまいました。

また、食器類をはじめそのデザイン、造形は相対的に、機能性に優れているだけ
ではなく、手作りのぬくもりを感じさせ、人が用いる製品が本来持つべき、使う人が
愛着を感じることが出来る要素を、ふんだんに有していると、感じました。

私たちの暮らす現代社会では、高度工業化の進展に伴って次第に失われつつある、
日用品のデザインのあるべき姿を、もう一度思い起こさせてくれる展覧会でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿