2018年4月12日木曜日

大根仁監督映画「バクマン」を観て

かねてより好評と聞いていたこの映画を是非観たいと思っていましたが、今回、DVD
を借りて観てみました。

高校生の漫画家の卵コンビの成長物語で、王道の青春ストーリーの雰囲気を醸し
出していますが、今この時代にこのような熱い物語を違和感なく紡ぎ出せるのは、
漫画というジャンルそのもののエネルギーによるのではないかと、感じさせられ
ました。

というのは、一昔前にはスポーツを題材にした青春物がもてはやされ、一世を風靡
しましたが、現代のクールな世相の中で、スポーツでの成功を目指す熱い主人公の
物語が、果たして多くの人々の共感を得られるかと言うと、大いに疑問だと思うから
です。

私たちは今やスポーツの物語ではなく、実際のスポーツ観戦を通して、感動や共感を
得ようとするに違いありません。フィクションよりリアル、それがこの時代の人々の
好みにより適うように思われます。

他方漫画には、フィクションでありながら、ビジュアルというリアリティーや伝わりやすさ
があり、小説よりも格段に受け入れられやすいと言えます。現に既存の文学作品の
漫画化も盛んに行われています。

しかし見かけとは裏腹に、漫画の創作の現場はアナログの世界。その当たり前さが
逆に新鮮で、この映画を観る普段は覚めた観客も、ついつい熱い物語に引き込まれる
のではないでしょうか?

主人公真城最高の佐藤健、高木秋人の神木隆之介の配役も絶妙、漫画家として
下積みの経験を持つ、リリーフランキーの漫画雑誌編集長もいい味が出ていました。

実写とCGを重ねた漫画創作過程の描写も、斬新かつ重層的で、忘れがたいシーン
でした。

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