2020年6月15日月曜日

堂本印象美術館「コレクション展 おしゃべりな絵画」を観て

新型コロナウイルスによる、緊急事態宣言が明けてから二つ目の美術館として、堂本
印象美術館に行って来ました。

入館のためには感染症対策として、マスク着用の義務化、備え付けのアルコールで
消毒、館内での感染症発生の場合のための電話連絡先記入、そして体温測定が課せ
られて、ようやく入場することが出来ました。まだまだ開館のための慎重な対策が取ら
れていると、感じました。

本展は、全作品が堂本印象の絵画によるコレクション展ですが、ユニークな試みと
して、それぞれの作品の登場人物の会話やつぶやきが、具体的なセリフの形で、説明
書き毎に添えられていて、絵を観るための助けとなると同時に、鑑賞者もセリフを考え
るなど想像をめぐらして、作品を味わうことが出来るようになっています。これも楽しい
試みであると、感じました。

また、本展で私が最も印象深く感じたのは、6点の「仙人図」で、いわゆるよくある
水墨画の粗いタッチの仙人の絵とは違って、淡い彩色と繊細な線を用いた日本画の
様式で描かれていながら、独特の詩情、とぼけた風情、ユーモアがあり、東洋、西洋
の規範に囚われない印象の絵画のスタイル、および彼の人柄を彷彿とさせると、感じ
ました。

更には、「最后のガラシャ夫人」、「ルソン行途上の高山右近」などの、大阪玉造教会
の壁画下絵も数点が展示されていて、自らは仏教徒であった印象が、キリスト教に
も共感を感じ、その壁画作品に情熱を持って取り組んだ様子が見て取れて、彼の画業
の幅広さ、スケールの大きさを、改めて感じました。

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