2014年6月27日金曜日

映画「さかなかみ」浜野安宏監督の試写会に行って

「さかなかみ」は、渋谷の「QFRONT」など数々の複合商業施設や、
東急ハンズのプロデュースで知られる、京都出身のライフスタイル・
プロデューサー、浜野安宏氏の初監督作品です。

彼のもう一つのライフワークであるフライフィッシングを題材にして、
監督自ら主演、北海道の原野の川にわずかに生息して、幻の魚と
呼ばれるイトウを追う一人の釣師を通して、人間の無知が自然を
蝕んでいく現実に警鐘を鳴らし、人間と自然のあるべき関わり方を
哲学的に考察します。

まず、ほとんどの北海道の河川では、漁業者以外サケを獲ることが
法律で禁じられており、一般人はサケを釣ることも出来ないという
ことを、私は初めて知りました。

監督は、その事実が釣り人を河川から遠ざけ、人びとの無関心を
助長し、ひいては自然を破壊して行くと、語り掛けます。

この映画で、失われてゆく大自然の象徴である巨大イトウを求めて、
山深い源流に分け入り、湿原、干潟を探索する釣師の姿を追って
行きながら、自然環境の現状を知り、危機感を共有するためには、
自然にじかに触れることが必要であることを、改めて教えられました。

この映画は、監督以下4人のスタッフで撮影されたといいます。
撮影機材、技術の発達によって、このように美しく、雄大な自然を
捕える映画の制作が、たった4人の力によって可能になったのです。
従来映画というと、多人数のスタッフと、大掛かりな道具立てが
一般的でしたが、これからは個人が、私的なメッセージを映像によって、
訴えることが可能な時代になりつつあるのでしょう。

上映後のトークショーも含め、監督の思想、信条、生活、仕事の
見事な一致には、感心させられました。

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