2021年12月11日土曜日

「鷲田清一折々のことば」2197を読んで

2021年11月7日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2197では 文化人類学者・松村圭一郎の『くらしのアナキズム』から、次のことばが取り上げられて います。    ムダを排した効率性にもとづくシステムは    いざというときに脆い。 例えば、「政治」におけるこのようなシステムの脆さが露呈したのも、今回のコロナ禍で ありました。 つまり、我が国の保健衛生が向上し、伝染病の集団感染なども最早起こらないと想定して、 各地の保健所の人員等をぎりぎりまで削減した結果、この新型コロナウイルス感染症の 急速な蔓延に対して、保健行政も迅速で適正な対応が取れず、結局一時なすすべもないと いう事態が起こりました。 また、医療行政においても、国公立の病院の少なさが、急速に増えるコロナ感染症による 中等症以上の患者を受け入れる病床の不足を生み出し、入院したくても入院出来ないと いう事態が生起したのも、医療予算の削減によるところが大きいでしょう。 無論、限られた予算を効率的に配分することは大切ですが、それにしても、不測の事態に 対して対処するだけのゆとりを持ったシステムを作り上げることが、国民生活の安全保障 という意味で必要です。 これは何も公共の政策に限らず、私たちの日常生活や、私にとっては商店の経営という 部分においても当てはまります。 即ち、日常生活においては、保険や年金等の支出がそれに相当するでしょうし、経営に おいては資本の蓄積や、持続性を考慮した経営方針がそれに当たると思います。 不測の事態に備えること、それは決して忘れてはならないことだと思います。

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