2021年8月20日付け朝日新聞朝刊、「鷲田清一折々のことば」2120では
詩人茨城のり子の詩「自分の感受性くらい」から、次のことばが取り上げられています。
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
この自立心旺盛な詩人は、心が揺れ動いても、劣等感にさいなまれても、人や時代のせい
にしないで、常に自分の価値基準で判断し、信じるところを突き進めと、読者を叱咤し
ます。
その姿勢は潔く、しかも自らがその生き方を実践しているので、説得力があります。
確かに私たちは物事が上手く行かない時、ついつい色々なことを他人や環境のせいにして、
自らを慰めたり、安心感を得たりします。でもそれは、後ろ向きな解決法でしかありま
せん。
大切なのは、揺れ動かない価値観を持つこと、全てをそれに引き付けて、自己責任のもと
に行動し、判断すること。しかし、このような心構えで生きるためには、けた外れに強い
精神力を持たなければならないでしょう。
でも、そこまでの胆力を持ち合わせない私たち市井の者共は、社会や他人に振り回される
自分に飽きれながら、せめて彼女の詩を読むことによって、心を励まされるのではないで
しょうか?
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