2020年11月6日金曜日

鷲田清一「折々のことば」1976を読んで

2020年10月27日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」1976では 作家森まゆみの『手に職』から、東京・神田のとび職の頭西出幸二の次のことばが取り上げ られています。    惚(ほ)れると惚(ぼ)けるはおんなし字だよ。 森が西出から、高所で命綱もつけずに飛び回る話を聞き、思わず「カッコイイ、惚れちゃう なあ」と声を上げると、間髪おかず返されたことばだそうです。 江戸の流れをくむ職人のいなせさを体現するようなことばですが、ちょっぴり含羞も含まれ ているように感じます。 でも、鷲田のコメントでも語られているように、惚れてもおぼれず、ちょっとすかして冷静 にことに当たることは、生きて行く上での極意の一つかも知れません。 私たちは、ことが上手く運ぶとつい調子に乗ったり、人の言うことを吟味しないで信じ込ん でしまったり、目の前の事実を当たり前のことと思い込んでしまったり、ついついしがち です。 でも、そこで待てよと冷静になり、慎重になれたなら、随分失敗や思い違いも少なくなるの ではないでしょうか? 私も今までの経験から、そうあるべきと自らを戒めているつもりですが、でも石橋を叩いて 渡るだけでは何か物足りないなあ、とも感じます。要は見極めと配分の問題なのでしょうが、 やはり世渡りは難しいものですね。

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