2017年9月18日月曜日

鷲田清一「折々のことば」875を読んで

2017年9月16日付け朝日新聞朝刊、鷲田清一「折々のことば」875では
社会学者岸政彦の「断片的なものの社会学」から、次のことばが取り上げられて
います。

 不思議なことに、この社会では、ひとを尊重するということと、ひとと距離を置く
 ということが、一緒になっています。

このことばは言い得て妙、私たちが得てして陥る、人と接する時の距離の取り方の
齟齬を、的確に表わしていると感じました。

というのは我々は往々に、尊重すべき相手に過剰に気を使って、その人の機嫌を
損ねないように、あるいは余計なわずらわしさを感じさせないように、あえて
他人行儀に振舞ったり、無関心を装ったりすることがあると感じます。

これは相手の気持ちを推し量って、不快感を与えるぐらいならそっとしておくのが
良いと判断しがちな、日本人のメンタリティーに起因すると思われますが、結果
尊重すべき相手との意思の疎通が十分に図れないという、本末転倒の事態に陥る
ことになります。

そしてそのような傾向の積み重なったものが、ひいては政治不信や人々の心に
巣くう疎外感にもつながっていると感じます。

ではどうすればいいのか?勿論簡単な解決策はないけれど、私たち一人一人が、
真に相手を尊重するためには、その人と直に触れ、相手を知ることから始め
なければならないということを、実感として認識することが必要であると、感じます。

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